フランス競馬界に新星

ショックに見舞われたアイルランドに続いて日曜日のフランス競馬を見ていきましょう。ロンシャン競馬場で行われたギニー・トライアル2鞍、馬場状態は good to soft 、どちらにしても重い馬場です。

先ずは牡馬によるフォンテンブロー賞 Prix Fontainebleau (GⅢ、3歳牡、1600メートル)。6頭が出走し、去年のジャン=リュック・ラガルデール賞(GⅠ)2着馬テリトリーズ Territories が8対5の1番人気。ラガルデールは先頭で入線したグレンイーグルズ Gleneagles が進路妨害と判定されて繰り上がったものですが、事実上の勝馬は現時点で2000ギニーの1番人気、レースそのものの評価にも繋がるトライアルと言えるでしょう。
レースは1戦1勝の2番人気(2対1)カラー Karar が逃げ、テリトリーズは最後方待機。直線で外に出すと、残り300メートルで末脚を爆発させたテリトリーズ、逃げるカラーを2馬身捉えて人気に応えました。更に2馬身差で3番人気(33対10)のザ・コミッショナー The Comissioner が3着と順当な結果に収まっています。

テリトリーズはアンドレ・ファーブル厩舎、ミケール・バルザロナが騎乗したゴドルフィンの馬で、陣営は英国遠征ではなく、仏2000ギニーが最有力候補という見解です。2歳時2戦目のシャンティーで初勝利を挙げ、そのあとロシェット賞(GⅢ)3着、ラガルデール2着でシーズン終了。今回がシーズン・デビューでもありました。父はインヴィンシブル・スピリット Invincible Spirit 、2着のカラーも同じ父の産駒で、同馬のワン・ツー・フィニッシュというのも大きな話題になっています。

そしてもう一鞍が牝馬によるグロット賞 Prix Grotte (GⅢ、3歳牝、1600メートル)。こちらは10頭立てと頭数も揃い、2歳時2戦2勝、G戦は初挑戦ながらアガ・カーンのヴェドゥーマ Vedouma が9対10のやや被った1番人気に支持されていました。
ブービー人気(25対1)のぺノルカ Penorka がペリエ騎乗で思い切った逃げ、一時は後続に5馬身差を付けてスタンドを沸かせます。ヴェドゥーマは6番手から追い上げましたが、更に切れ味を発揮したのは、最後方に待機していた2番人気(47対10)のメキシカン・ゴールド Mexican Gold 。大逃げを打ったぺノルカを半馬身差し切っていました。ヴェドゥーマも伸びたものの、逃げ馬を短頭差捉え切れず3着まで。

勝ったメキシカン・ゴールドは、2歳の10月にドーヴィルで新馬勝ちしただけの馬。これで2戦2勝、仏1000ギニーの中心的存在の1頭に急上昇したようです。これまたアンドレ・ファーブル師の管理馬ですが、注目は騎乗したヴィンセント・シェミノー Vincent Cheminaud 。今年21歳、実は去年の障害騎手チャンピオンで、今年から平場にも積極的に乗ることになっています。既にデュプレ師、ラッフォン=バリアス師などが有力馬への騎乗を依頼していますが、ファーブル師もアブダッラー殿下のメキシカン・ゴールドの騎手に選んだことが大きな話題。
そもそもファーブル師も障害レースの名騎手から調教師に転出した経歴の持ち主で、現場の目を持っている方。いきなり名伯楽の目に適ったシェミノー騎手、フランス競馬界に現れた新星と言えるでしょう。

一方人気で敗れたヴェドゥーマは、より長距離が向いていると判断したようで、ギニーには出走せず長距離クラシックを目指すことを表明しています。

 

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